イトトリゲモ(糸鳥毛藻)(トチカガミ科 イバラモ属)
イトトリゲモ(糸鳥毛藻)(トチカガミ科 イバラモ属)
自生環境
水田、ため池など
原産地
日本在来
特徴
- 水田やため池に生える1年草です。株の寿命は短く、6月から7月ごろに発芽した後、短期間で開花・結実を済ませ、稲刈り前にはタネを残して枯れてしまいます。
- 水底の泥の中に根を下ろしますが、まるで藻のように、一生を水中で過ごします。茎はすぐにちぎれますが、ちぎれてもそのまま生育可能です。ただ乾燥には極端に弱く、水から出した途端に傷んでしまいます。そのため、タネを残す前に田の水が落ちると、次世代に命をつなげずに絶える原因となります。
- 葉のわきに雄花が1個、雌花が2個、同時につきます。タネはうすい果皮に包まれた状態でふつう2個ずつつきます。果皮をむいたタネには、横長の網目模様がありますが、この模様はトリゲモの仲間の重要な識別点の1つです。
藻のようだけど藻ではない
イトトリゲモは、名前に「藻」とつく上に、植物体が水中にあるため、一見すると藻類(いわゆる藻のこと)のように感じてしまいます。しかし、目立たないながらも、きちんと花を咲かせタネで増えるれっきとした「植物」です。じつは藻類は、もはや植物でもなく、「原生生物」と呼ばれるくくりになります。なお、一生を水中で過ごし、藻のように見える植物のことを「沈水植物」と言います。
市内の分布状況
市内では旧・関宿町エリアの水田地帯に多数生育しています。
生育を脅かす要因
- 農薬
- 乾燥化
- 水質悪化
除草剤や水田管理法の変化(特に水を抜く時期)によって、全国的に激減しました。市内の自生地では、水田がこのまま維持されている限りは、特に問題はありません。
レッドリスト
千葉県…B(重要保護生物)
環境省…NT(準絶滅危惧)
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