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骨の中身は常に変化している(市報のだ11月15日号掲載)

ページ番号 1018425 更新日  令和1年6月18日 印刷

監修者の柳田信也先生の写真
(監修:柳田信也先生)

東京理科大学の准教授、柳田信也先生にお聞きしました。

体内にある”カルシウム銀行”

私たちの身体は、基本的に206個(数個程度の過不足がある人は珍しくありません)の骨で構成されています。骨は体重のおよそ15~18%前後の重量があり、筋肉と同様に主要な身体の構成要素となっています。その骨という組織の働きを考えたとき、多くの人が“身体を支える”ことや“動くための基礎”となっていることをイメージするのではないでしょうか。さらに詳しい人は、骨髄で“血液を作る場所”と答えるかもしれません。一方で、「骨の働きはカルシウムの貯蔵である」と答える方はどれほどいるでしょうか。骨を丈夫にするためにカルシウムを摂るというイメージは多くの人が持っていると推察されますが、貯めておくために摂っているとは思っていないように感じます。実はこのカルシウムの貯蔵庫としての骨の働きは、私たちの生命を維持するためにとても重要なものとなります。

 

私たちの身体は、水素や酸素、窒素などの有機物とナトリウムやマグネシウム、カリウムなどの無機物によって構成されています。カルシウムは人体を構成する無機物のひとつであり、人体に豊富に存在します。ナトリウムやマグネシウムなど他の無機物と特別な違いを感じることはないかもしれませんが、カルシウムは体内では非常に特異性を持った物質なのです。骨の無い動物はいますが、体内にカルシウムを持たない動物は存在しません。

 

私たちの体内のカルシウムの99%は骨の中にあり、残りは血液などの細胞外液、または筋肉などの細胞内に存在しますが、それは極めてわずか(1%程度)であると言われています。このたった1%しかない細胞内外のカルシウムではありますが、この細胞外と細胞内のカルシウム濃度が我々の生命維持に極めて重要なのです。その昔、ロンドンでカエルの心臓を使った実験を行った際に、ロンドンの水道水で作った生理食塩水では心臓が動いたが、蒸留水では動かないということがあったそうです。あとになって、ロンドンの水道水に含まれる謎の成分がカルシウムであることがわかりました。たまたまロンドンの水道水に含まれていた汚れ成分がカルシウムの生体における重要性を解き明かしたのです。つまり、カルシウムは単なる骨の材料ではなく、生命の根幹を支える重要な物質であると言えます。その重要な働きは、細胞外(主に血液中)と細胞内の濃度のバランスが極めて精密に保たれることによって守られています。さまざまな要因によって、血液中のカルシウム濃度が下がりそうになると、すぐに骨からカルシウムが血液中に分泌され、この濃度バランスが保たれます(平衡)。そして、血液中のカルシウム濃度が保たれることによって、細胞内のカルシウム濃度も一定に保たれるという仕組みになっています。骨に蓄えられているカルシウムは単に骨を形作っているわけではなく、骨は必要に応じてカルシウムを納め、貯蔵し、引き出すという“カルシウム銀行”のような働きがあるのです。そして、血液はカルシウムにとってお財布のようなものです。これこそが意外と知られていない骨の重要な働きであると言えます。

骨はカルシウム銀行の図
骨はカルシウム銀行

骨は常に生まれ変わっている(骨形成と骨吸収)

私たちの骨は、成人になり、成長が止まったあとにおいて、高齢になるまで変化しないと思われがちですが、実は常に骨の中身は新しいものに入れ替えられています。我々の骨は常に新陳代謝が活発に行われているわけです。これを骨のリモデリングと呼びます。この新陳代謝の過程では、まず骨を壊す働きをする“破骨細胞”が骨を吸収(骨吸収)します。そして、骨を作る働きをする「骨芽細胞」が、破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨を作る(骨形成)のです。骨は、2~5か月かけて作り直され(リモデリング)、1~4年周期でこれを繰り返すと言われています。また、1年間でおよそ20%の骨がリモデリングされていると言われています。

骨のリモデリングの図
骨は1年間でおよそ20パーセントもリモデリングされています

このリモデリング、つまり骨形成と骨吸収のバランスが崩れるといわゆる骨粗しょう症となります。この骨形成と骨吸収は、骨細胞自体がそれぞれの細胞と情報のやり取りをすることによって、バランスが保たれていることがわかっています。骨細胞は、骨を丈夫に保つために、自らが現場監督になり、新たな骨の形成や古くなった骨の回収を指揮しているのです。最近の研究では、この指令に使われる生体内での物質も発見され、骨がフレッシュに維持されるメカニズムが解明され続けています。

骨吸収と骨形成の仕組みのイラストがあります
骨吸収と骨形成の仕組み

骨の発育・発達・加齢による変化

前述したとおり、成人の骨は基本的に206個ありますが、乳幼児期の骨の数は300~350個あります。骨の数は成長と共に減っているのです。なんだか不思議な感じがしますが、これは、癒合といって、骨と骨がくっついてひとつの大きな骨になりながら成長の過程を歩んでいくことが原因です。特に、頭がい骨や手腕骨(手指や手首の骨)、骨盤でよくみられる現象です。骨一本一本の成長に目を向けてみると、乳幼児期の骨は軟骨成分が多くあると言われています。そこに血流が生まれ、カルシウムが運ばれると軟骨の石灰化(骨化)が始まります。この石灰化は骨の中心に近い部分から起こることがわかっており、骨の両端は軟骨組織が成長の過程の中でも遅くまで残ります。子どもの骨が衝撃に弱いのは、この両端の軟骨(骨端軟骨)が多く残っているからです。余談ですが、幼少児が高いところから飛び降りたり、必要以上に強い衝撃を骨に加えたりすると、この骨端軟骨の傷害の原因となりますので、注意が必要です。成長するにつれて、骨端軟骨部分にも血流が生まれ、カルシウムの沈着が起こり、骨端軟骨も骨化していきます。そして、15歳から18歳ぐらいまでで骨の成長は終わります。

骨密度の経年変化のグラフ
骨密度の経年変化(骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2015より抜粋)

成人の骨が、一定ではなく常に変化していることは前述したとおりです。私たちの骨の量は、20歳前後をピークとし(最大骨量)、40歳から50歳ぐらいまでその量が維持され、それ以降は加齢に伴い、骨量が減少していきます。加齢に伴い前述したような、骨形成と骨吸収のバランスが崩れ、骨形成量を骨吸収量が上回ってしまうためにおこると考えられています。

骨粗しょうの年代別の図
骨粗しょう症の年代別と部位別の割合

特に、女性は骨量維持と女性ホルモン分泌に関連が認められるため、閉経後に急激に骨量が減少していくことがわかっています。骨量、いわゆる骨密度が低下し、転倒などによって骨折のリスクが高まっている状態を骨粗しょう症と呼ぶのは皆さんご存知だと思います。加齢に伴う骨量の低下は、明らかに骨粗しょう症の有病率と強く相関し、男女ともに加齢により有病率の上昇が認められ、その上昇度は男性よりも女性が極めて高い値を示します。骨粗しょう症は女性の方が非常にリスクの高い病状であると言えます。

骨粗しょう症の男女別の図
骨粗しょう症有病率の性と年代別分布と女性の骨密度の変化のグラフ

骨の中に電気が流れる!?(衝撃によって強くなる骨)

骨に電気のイラスト
骨に電気が流れると骨が強くなる

骨粗しょう症予防の具体的な方法を考える前に、骨を強くする方法を考えてみましょう。骨を強くする、つまり骨形成を促進する方法は存在します。そのことに関わるのは、何と骨の中を流れる電気です。神経の伝達に電気が関わることは良く知られていますが、骨の形成に電気が関わることはあまり知られていないのではないでしょうか。さらに、この骨の中の電気が骨形成を促進するという現象を学術的に証明したのが日本人だということはもっと知られていないでしょう。骨に圧力が加わると、骨形成が促進されるという研究成果は、保田岩夫先生(京都府立大学)によって報告された「骨の圧電気現象」と呼ばれる世界に誇るべきものです。この電気を発生させるための圧力、つまり骨に与える衝撃が骨を強くするカギとなります。私たちの骨は、衝撃を受けることによって強く生まれ変わることができるのです。特に我々の骨格においては、長軸方法の衝撃を受けることが重要です。骨の圧電気現象は、骨に関する医学を大きく転換させ、現代では骨折などの治療で骨に電気を流すこともあるようです。これらの研究はいまだ発展を続けており、更なる発見があることが期待されます。

骨粗しょう症にならないためには(日本人のカルシウム不足と運動の重要性)

さまざまな観点から、骨について述べてきましたが、このコラムの本題は健康寿命の延伸ですので、大事なことはどうすれば骨粗しょう症を予防できるかということかと思います。最後にその点を考えてみましょう。

骨粗しょう症は、ホルモンバランスの乱れ、運動や栄養の不足、他の病気や薬の影響などによって、骨の新陳代謝(リモデリング)が崩れることが原因で起こります。前述したような女性ホルモンの減少は生理現象として不可避ですし、病気や投薬も意図的に変えることは困難です。それゆえ、骨粗しょう症の予防には、運動と栄養が重要となります。まず栄養については、これまで述べてきたとおり、骨の主要な構成要素であるカルシウムの摂取が重要であることは言うまでもありません。日本人の一般成人に必要なカルシウム摂取量は、年齢や性別によって異なるものの、一日当たり650~800mgです(日本人の食事摂取基準2015年版、厚生労働省)。ところが、かなり以前から日本人のカルシウム摂取量はこの基準に全く達しておりません。2016年の調査結果では、20歳以上のカルシウム摂取量の平均値は495mg/日であり、特に20代では412 mg/日と非常に低い値となっています(国民健康・栄養調査2016年版、国立健康・栄養研究所)。これは極めて悲観的な状態であると言わざるをえません。現状をよく理解し、食生活の改善が求められています。直接的なカルシウムの摂取以外では、特にビタミンDの摂取が骨量の増加には重要な役割を果たすと言われています。ビタミンDは、腸におけるカルシウム摂取効率を高め、さらには骨形成と骨吸収にも関連しています。カルシウムと合わせて摂取することで、より効率的な予防策となると考えられます。

日本人のカルシウム不足には、日本の土壌はミネラル分の少ない軟水が多く含まれていることなども影響していると考えられています。また、長く親しんだ食生活を大きく転換することは、食文化の観点からも大変困難なものです。やはり、骨粗しょう症予防には運動が最も重要となります。前述したように、骨は圧力が加わると電気が流れ、骨形成が促進されます。骨に力や衝撃を最も生理的な刺激として加えることができるのは運動に他なりません。学術的な研究成果においても、運動が骨を強くすることが明らかになっています。

トレーニング時間のグラフ
トレーニング時間の違うランニングトレーニングがラットの脛骨の骨密度に与える効果

実験モデルとして有益であるラットを用いた研究成果によると、11週間のトレッドミルランニング(ルームランナーのようなもの)を1日たった15分行っただけで、顕著な骨密度の増加が認められることがわかっています(七五三ら、体力科学:1990年)。また、若齢から高齢までのいろいろな年齢のラットに、ランニングやジャンプを行わせると若齢でも高齢でも大腿骨の骨量が増加し、特に骨に対する刺激が強いと考えられるジャンプでは、その増加はより顕著であることを示した研究もあります(Umemuraら、Journal of Sports Medicine:1995年)。これらの研究の成果は、運動をすれば骨は丈夫になるという客観的な事実を明確に示していると言えるでしょう。

ラットのグラフ
さまざまな歳のラットにおけるランニングとジャンプトレーニングと骨量

また、ヒトにおける研究でも、6か月間のさまざまな運動プログラムによって参加者の骨密度が顕著に増加することが明らかにされるなど(Simkin、Calcified Tissue International:1987)、運動による骨形成の促進を支持する研究成果が多数あります。これらの学術的成果は、極めて確からしく“運動で骨は強くなる”という論理をサポートするものであると言えます。

骨密度の変化のグラフ
運動プログラムに参加した人と参加していない人の骨密度の変化

骨を丈夫にする運動は

では、骨を丈夫にするためにどのような運動をすればよいでしょうか。それは、ここまで読んで下さった方は既にお分かりかもしれません。骨に充分な刺激を与える運動、つまり歩くことや階段を上ること、ステップを使うダンスなどさまざまなものに効果があると言えるでしょう。難しい場合は、歩くことから始めると良いかもしれません。

宅配の牛乳を毎日飲んでいる人よりも、重たい牛乳を毎日運んでいる人の方が骨密度は高い、という冗談があります。1日当たり1000歩から1500歩の歩数の増加を目指してみましょう。体という漢字の旧字体は、「體」と書きます。骨が豊なのが体です。いきいきとした生活を送る体を維持するために、しっかりと運動をして丈夫な骨を保っていきましょう。

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