• トップページ
  • 市政の疑問にお答えします
  • くらしの便利帳
  • 事業者向け情報
  • 市政・市の紹介
  • 施設案内
  • イベント

現在位置:  トップページ > くらしの便利帳 > 福祉・介護 > 介護保険 > 広報戦略 > 体を動かして脳を活性化(市報のだ8月15日号掲載)


ここから本文です。

体を動かして脳を活性化(市報のだ8月15日号掲載)

ページ番号 1023513 更新日  令和1年9月4日 印刷

柳田先生
(監修:柳田信也先生)

東京理科大学の准教授、柳田信也先生にお聞きしました。

私たちの脳は、一千億以上もあると言われる脳神経細胞によって構成されています。その無数にある神経細胞(ニューロン)は、電気信号を発してお互いに情報をやりとりすることで我々の思考や学習、感情などを司っています。脳は言うまでもなく、私たちのこころと身体を統合する重要な器官です。

近年、アルツハイマー病をはじめとする認知症が大きな社会問題となっています。厚生労働省の調査によると、要介護認定となる原因の第2位が認知症であるということがわかっています。この第1位は脳血管疾患ですので、介護が必要となる要因の上位2つを脳関係の疾患が占めていることになります。

図1

健康を考えた場合、体脂肪や筋肉、骨などの器官に対する運動や栄養について考えることが多いかと思いますが、脳の健康を保つことも極めて重要になっています。メタボリックシンドローム、ロコモティブシンドロームと合わせて認知症は22世紀に向けた健康課題であると考えられます。効果的な予防法の確立が望まれるところです。結論から申し上げれば、その予防法として最も効果的なものの一つが日常的な運動の実践です。もちろん運動をすることで、メタボやロコモも予防することができますので、一石三鳥であると言えます。

図2

運動で脳機能は高まる!?

「運動ばかりしているとバカになる」、「あの人は脳みそまで筋肉でできている」このような発言を誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。運動ばかりして勉強をしないことに対する教育的配慮のある言葉なのかもしれませんが、文字通りにこの問題に答えるとすると、答えはNOです。運動と脳の関係性の研究は、端緒についたばかりであることは否めませんが、現在までに得られている知見だけでも運動は脳機能を向上させると言い切ってしまっても過言ではないと考えられます。つまり、運動をするとバカになるどころか運動は脳機能を向上させるものであると言え、こころを統合するのは脳の働きであるという前提に立つとすると、運動はこころの健康の維持増進に対して重要な働きを持つツールとなることが示唆されます。

この運動と脳機能の関係を研究していくに辺り、我々関係者に大きな影響を与えた論文があります。1999年にNature Neuroscienceに掲載されたVan Praagらの”Running increases cell proliferation and neurogenesis in the adult mouse dentate gyrus” という論文です。Van Praagらは、さまざまなおもちゃの入った豊かな環境、車回し(ランニングホイール)の付いた運動ができる環境、動物実験で通常用いられるケージなど、さまざまな条件でマウスを飼育し、記憶や認知機能を司る“海馬”の神経細胞の細胞数や神経成長を調査しました。豊かな環境で飼育すると海馬の構造や機能が向上することは、この論文より以前の研究によって既に分かっておりましたが、Van Praagらの研究結果は驚くべきことに、たくさんのおもちゃに囲まれてのびのびと過ごす条件と同等以上の効果を車回し運動によって得られることを示しました(図)。

図3
さまざまな飼育環境が海馬神経細胞成長と細胞分裂に及ぼす影響

たくさんのおもちゃがある豊かな環境(a)、車回しのみが置かれているケージ(b)、通常の飼育ケージの(c)の画像。神経細胞分裂の指標となるBrdUを用いて、神経細胞数を測定した結果が右下のグラフに表されており、通常ケージで飼育したマウス(白)よりも車回し付ケージで飼育されたマウス(黒)および豊かな環境で飼育されたマウス(横縞)では有意に神経細胞数が増加していることが示されている。さらに、車回しは豊かな環境よりも高い値を示している傾向が見受けられる。(Van Praag et al. 1999, Nature Nerusroscience)

この研究は、大人のマウスを用いた研究ですが、幼若マウスにおいても同様なことが確認されております。図の写真aのような豊かな環境が脳機能を向上させることは、前述したように神経科学分野の研究においてもサポートされていることですが、ヒトの子育てにおいても実感できる部分があるように思えます。乳幼児期の子どもにとって、あそびは生活の中心であり、あそびを通してからだやこころが成長・発達していくものです。そのあそびの環境が充分に備わっている条件で飼育されることで、マウスの脳の発達が良好なものとなることは想像に難くありません。繰り返しになってしまいますが、そのような豊かな環境を超える効果を運動が有しているということは、運動が脳機能向上にもたらす潜在的な力は計り知れないものがあると言えます。昨今、脳を育てるという謳い文句の教具や玩具が非常に多く出回っていますが、それらにお金を費やすよりも公園で駆け回るほうが脳機能向上には良いのかもしれません。

また、ヒトを対象とした研究においても、身体活動を継続して行うことによって認知力(理解力や判断力など)の向上や、その能力を司る海馬の容積が増加することが報告されています(Ericksonら,2011年;Proc Natl Acad Sci USA)。

図4

ヒトにおける認知機能の向上というと、いわゆる「脳トレ」の効果をイメージする人も多いかもしれません。しかし、ゲームなどの脳トレについては、懐疑的な研究報告も多くみられます。世界的に最も権威のある学術誌のひとつであるNatureに2010年4月、衝撃的なタイトルの論文が発表されました (Katsnelson, 2010)。そのタイトルは、「No gain from brain training(脳トレからは何も得られない)」です。この論文では、11,430人のさまざまな年代の人にコンピューターを用いた「脳トレ」ゲームを行わせた結果、そのゲーム自体は上手くなったが、他の測定項目によって評価された認知機能や記憶、学習などの脳機能は改善されなかったことが報告されています。もちろんこの研究だけで「脳トレ」に効果がないと決めつけることは良くないことですが、「脳トレ」ゲームを実施することによって脳機能の向上を期待するよりも、運動をすることによる脳機能の向上や認知機能の向上、認知症の予防効果の方が科学的証拠は多く存在し、確からしいと言えます。お金をかけてゲームを購入するよりも公園をジョギングした方が脳には良い効果が期待できるかもしれません。

運動と脳の血流

ここまで述べてきたような脳の機能には、神経活動と共に脳血流量が重要です。加齢による脳血流量の減少は、認知症との関連性が示唆されています。これまで長い間、運動をしても脳血流は変化しないと考えられてきました。しかし、現在では、それは脳の血流を測定する技術が乏しかったからではないかとの考えが主流となっています。最近の研究では、軽度や中度(ジョギング程度)の運動を行った場合には脳血流が増加するという報告が多くみられるようです。この脳血流の増加が直接的に認知症の予防に効果があるかどうかについては不明な点が多く、完全に結論づけることは現段階ではできませんが、脳に対して全体の約20%もの血液が供給されているという事実から想像すると、運動による脳血流量の増加は何らかのポジティブな影響をもたらす可能性は高いと考えられます。実際に低強度の運動を継続することで海馬の血流量が増加し、海馬の神経細胞の増加に寄与するという研究もみられるため、日常的な運動は、脳血流量を増加させ、神経細胞の働きを活性化させることによって、認知症をはじめとした脳血管疾患の予防にも有効であるというストーリーは確からしいのではないかと考えています。

また、近年、メタボやロコモと認知症を併発する人も多くいると言われています。日常的な運動で肥満の予防や筋肉量の増加が認められることは疑いの余地のないことでありますので、この点からも運動による認知症予防は強く推奨されるものであると言えるでしょう。

運動による脳機能向上に期待されること

運動によって脳機能向上を図っていくことは、認知機能の向上やストレス社会に打ち勝つ強いこころや安定した心理状態を手に入れるという直接的な効果以外にも、別の効用があるように思います。それは運動習慣者の増大です。厚生労働省は、2000年に提言された健康日本21の中で運動習慣者の割合を、男性は39%、女子は35%まで増加させることを目標として掲げています。しかしながら、2009年の国民健康・栄養調査の結果によると2003年以降、若干の増減はみられるものの目標には及んでいないのが現状です。運動指針の制定、特定健診保健指導の開始などによって、国民に運動の大切さや必要性はある程度以上普及しているものと考えられます。また、インターネットをはじめとした情報獲得手段の現状を考えれば、健康増進における運動の意義は説明するまでもなく浸透しているのではないでしょうか。それにもかかわらず運動習慣者は増加傾向を示しておりません。我が国の国民は健康になりたくないのでしょうか?そんなはずはありません。もしかすると、日常生活を何不自由なく暮らしている人にとって、体脂肪を減らすことや筋量を増加させることは、いくら健康のために良いことだからと言っても運動をする動機づけとして充分ではないからなのではないでしょうか。一方で、ストレスを解消できる、こころの不安やモヤモヤを消すことができる、さらには学習能力までも向上するというようなことが科学的に証明されたとすれば、体脂肪を減らすために苦労はしたくないと思っている人であっても、運動を生活の中に取り入れていこうと思うかもしれません。そうすれば副次的に体脂肪は減ります。少し飛躍しすぎた考えかもしれませんが、『運動習慣者の増加をもたらし、ひいては心理的にも身体的にも健康増進が図られていく』、こんな希望が運動による脳機能向上に関する研究にはあると思っております。

PDFファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。お持ちでない方は、アドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウで開きます)からダウンロード(無料)してください。

ご意見をお聞かせください

質問:このページの内容は役に立ちましたか?

質問:このページの内容はわかりやすかったですか?

質問:このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

福祉部 高齢者支援課
〒278-8550 千葉県野田市鶴奉7番地の1
電話:04-7123-1353
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。



マイページ

使い方

マイページへ追加する

マイページ一覧を見る

Copyright (C) City Noda, All Rights Reserved.