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筋肉を動かす鍵はカルシウム(市報のだ1月15日号掲載)

ページ番号 1021712 更新日  令和1年6月18日 印刷

柳田先生
(監修:柳田信也先生)

東京理科大学の准教授、柳田信也先生にお聞きしました。

細胞と生命

人体の構成の説明があります
人体の構成要素

私たちの身体には、少なくとも60兆個の細胞があるとされています。また、細胞の種類はおよそ200種類あります。それらの細胞が、集まって組織を構成し、さらにいくつかの組織が集まって筋肉や内臓などの器官が作られます。そして、ひとつの生理反応を起こすためにはいくつかの器官の働きが必要となり、その構成単位を器官系と呼びます。例えば、「消化―吸収―排泄」という生理機能のためには、口腔―食道―胃―小腸―十二指腸―大腸―結腸―直腸―肛門という一連の器官の働きが必要になり、これらが消化器系という器官系を組織しているということになります。

いずれにせよ、我々の身体は細胞という極めて小さなパーツを巧みに組み合わせて複雑な生命現象を営んでいると言えます。我々が生きるために体内にさまざまな栄養素を摂取したり、呼吸によって酸素を取り入れたりしているのは、細胞がこれらの物質を必要としているからです。つまり、生命現象の最小単位は細胞であると考えられます。

しかし、もう少しミクロな視点で人体を解剖してみると、分子レベル、さらには元素レベルの構成要素が見えてきます。つまり、物理化学的な視点で生体を考えると違った観点が見えてくるということになります。分子レベルで考えた場合、人体の構成要素は水分(約60%)、タンパク質(約15%)、脂質(約12から20%まで)と表すことができます。さらに、元素レベルで考えると、我々の身体の構成は、酸素・炭素・水素・窒素でおよそ95%が占められています。複雑怪奇なヒトの身体がたった4つの元素で出来ていると考えるとなんだか不思議な思いがするのではないでしょうか。

生体の構成要素のうち、残りの5%には、カルシウムやナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの微量元素が含まれています。これらの元素の体内量は確かに微量ではありますが、細胞の生存に極めて重要な役割を果たしています。身体の中で1%にも満たないこれらの微量元素によって我々の生命は維持されているのです。

人体の構成の説明があります
身体の構成成分

電解質と細胞の関係

ヒトの細胞の構成成分の説明があります
ヒトの細胞の構成成分

我々の身体のおよそ60%を占める水分は、細胞内部と細胞外部で成分が大きく異なります。細胞内部の液体を細胞内液、細胞外部の液体を細胞外液と呼びます。この細胞内液と細胞外液の成分、特に先ほど述べたカルシウムやナトリウム、カリウムなどの金属元素の濃度の違いが、生命現象の基本単位である細胞の働きを左右しています。

この理由探るには、太古の昔、原始時代までさかのぼらなければなりません。原始の生命体は、海中に生息した単細胞生物だと言われています。その名の通り、たった一つの細胞で身体が構成された生物です。単細胞生物は、その体の周りに細胞膜があり、その膜によって外界、つまり海と身体の内部を仕切っていたと考えられています。この膜は、非常にうまくできていて、身体にとって必要な栄養素や酸素は内部に取り入れることができるものの、不要なものは一切通しません。一方で、身体に不必要な老廃物は積極的に体外に放出し、細胞の中から無くなっては困るタンパク質などは体外に出さないような構造になっています。生物が外部環境に依存されずに、生命現象を一定に保つ仕組みです。これを内部環境の固定性と呼びます。1860年頃にフランス人のクロード・ベルナールが提唱した説です。余談ですが、クロード・ベルナールの著書「実験医学序説」(岩波書店)は、1865年に出版され、日本語版が1938年に翻訳出版されていますが、何と現在でも新本を購入することができます。このベルナールが提唱した内部環境の固定性を基に、アメリカの生理学者ウォーター・ブラッドフォード・キャノンがこの現象を「ホメオスタシス(恒常性)」と命名し、生物の持つ重要な性質として定義づけを行いました。我々が、外部の環境要因にかかわらず生体内部の状態を一定に保つことができるのは、このホメオスタシスが働いているおかげです。

さて、単細胞生物と海の関係に戻ります。単細胞生物は、比較的、温度や成分などの環境の変化が少ない海の中で、細胞膜に守られながら生きていました。この章の冒頭で述べた細胞内液と細胞外液の成分や濃度の違いは、まさにこの単細胞生物と海の関係と同じことなのです。ミドリムシやゾウリムシが大海原で生きたように、ヒトの身体の60兆個もの細胞は細胞外液という海の中で生きていると言えます。事実、細胞外液の成分と海の成分は極めて酷似していて、我々生物の進化の歴史を物語っています。

単細胞と多細胞の説明があります
単細胞生物と多細胞生物の細胞内と細胞外の内容はほぼ同じ成分

我々がさまざまな生命現象を営むとき、60兆の細胞が複雑に働きます。この働きを起こすための、情報伝達や細胞の活性化に細胞外液中のカルシウムやナトリウム、カリウムなどの金属元素が重要な役割を持っています。細胞外液中においては、これらの元素は主にイオン化された電解質としてプラス(陽)かマイナス(陰)の電荷をもった状態で存在しています。これらの元素を介した細胞内外の電気のやり取りが細胞の働きを支える仕組みのひとつです。とくに、筋肉や脳神経は電気のやり取りによって活動状態が決定される組織であると言えます。我々が、筋肉を使って力を発揮したり、脳神経を使って物事を考えたりしているときには、それらの細胞内液と細胞外液の間で、イオン化されたカルシウムやナトリウム、カリウムなどが激しく行き来している状態です。生体内においては、カルシウムやナトリウムは細胞外液の濃度が高く、反対にカリウムは細胞内液の濃度が高い状態です。このバランスが崩れると細胞は情報伝達(活性化)できなくなり、生命現象を維持することが出来なくなります。そのため、この濃度の勾配は極めて厳密に保たれるようになっています。この勾配を保つことが、ホメオスタシスを維持することだと言ってよいでしょう。

カルシウム濃度の説明があります
細胞内外の金属元素の濃度勾配
カッコ内の数字は比率(倍率)

これまで述べてきたように、生命維持に非常に重要な微量元素ですが、カルシウムはその中でも非常にユニークな特質を示します。それは、人体の各器官における濃度分布や細胞内外の濃度差が極めて特異的だからです。2018年11月のコラムでも述べましたが、人体のカルシウムは、その99%が骨に貯蔵されています。残りの1%を細胞外液(主に血液)や他の細胞内部に蓄えており、これほどまでに器官・組織間の分布に差がみられる物質は生体内において珍しいものです。また、細胞内外に目を向けてみても、例えばナトリウムイオンの細胞内液と細胞外液の濃度差は約10倍程度、カリウムイオンの場合は5倍程度ですが、カルシウムイオンの場合、なんと細胞内に比べて細胞外の濃度は1万倍にも及ぶことがわかっています。極めてユニークな物質であることがわかるのではないかと思います。このカルシウムの細胞内外における莫大な濃度差が細胞の情報伝達機構、ひいては全ての細胞の機能維持に重要なのです。

カルシウム濃度の説明があります
体内各分画のカルシウム濃度差

カルシウムと健康

カルシウムの細胞外液中の濃度は、正常範囲は非常に厳密に保たれています。ナトリウムやカリウムなどの他の物質と比べても、カルシウムの細胞外濃度のコントロールはずば抜けて精密であり、0.5mM程度の増減で、生存のための限界値を示します。通常は極めて低い濃度で精密に保たれている細胞内のカルシウム濃度が上昇し、細胞内外のカルシウム濃度差が少なくなると、全身の細胞にさまざまな障がいが出ます。情報伝達機能の不全などにより起こる自発的な細胞死(アポトーシス)が起こった細胞では、非常に多くの場合において細胞内のカルシウム濃度の増加がみられることがわかっています。そして、これらが免疫系や内分泌系、呼吸循環器系、腎臓系などの多様な疾患の原因となることもわかっています。これは、体内のカルシウムの不足によって、カルシウム調節ホルモンが働き、細胞外液中と細胞内のカルシウム濃度が均衡化することによって、細胞内の情報伝達機能が破たんするためだと考えられています。そのため、しっかりと体内のカルシウム量を維持し、細胞内外のカルシウム濃度の勾配を保つことが、病気にならないためには大切です。

カルシウムの情報伝達の説明があります
カルシウム不足と健康(疾患)の関連性
藤田拓男 カルシウムと健康;カルシウムと骨代謝(雪印乳業株式会社健康生活研究所)より作図

筋収縮や神経機能とカルシウム

特に、筋細胞や神経細胞にはカルシウムは重要な働きをもっています。遺伝的な疾患である進行型筋ジストロフィー(筋肉が萎縮し、進行すると呼吸すらできなくなる疾患)にはカルシウム濃度が関係していると言われています。そもそも、我々の筋肉が力を発揮するとき、その引き金を引いているのは筋組織内のカルシウムイオンです。我々の筋肉が筋線維という細い線維の束でできていることは、先月お伝えいたしましたが、その一本一本の筋線維はアクチンとミオシンという層のような構造を持っています。アクチンとミオシンがミルフィーユのように重なって構成されているのが、我々の筋線維です。私たちが力を発揮するときには、これらの筋線維が収縮する(縮む)状態となります。この収縮は、アクチンがミオシンの間に滑り込むことによって起こりますが、このアクチンとミオシンの重なりを生むために必要な物質がカルシウムイオンです。筋組織内の筋小胞体という細胞内小器官にはカルシウムイオンが貯蔵されており、筋が収縮するときに一斉に放出され、筋線維内に放出されたカルシウムイオンがアクチンとミオシンを結合させ、滑り込みが起こります。カルシウムは骨を作るだけではなく、力を発揮する源でもあるのです。

また、脳神経機能、特に認知症や精神疾患にも深く関連することがわかっています。最近の研究ではカルシウムの不足がこれらの発症にかかわることが示されています。しかし、カルシウムが不足するとイライラするというよく聞く話に対する科学的証拠は少ないようです。カルシウムの重要性や脳神経系における生理学的機能をよく理解した人が比喩として使ったのかもしれません。

カルシウムと筋肉の説明があります
筋収縮にはカルシウムが必要

カルシウムと運動

非常に細かい細胞レベルの話になってしまいましたが、ようするにカルシウムは骨だけではなく、全身において重要な栄養素です。しかしながら、日本人のカルシウム摂取量はかなり不足していることがわかっています。いきいきと健康長寿を実現するために、食事から充分な摂取を心がけましょう。また、カルシウムの働きを身体の中で機能的にするためには日常的な運動が欠かせません。多量なカルシウムの貯蔵庫である骨の減少は、血液(細胞外液)中のカルシウム不足に影響し、細胞内のカルシウム濃度に影響が出ます。その影響がどれほど重大であるかについては、これまでに述べた通りです。カルシウムと運動や栄養の関係については、2018年11月のコラムにも記載されていますので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。

市が進めるシルバーリハビリ体操などを有効に活用し、日常生活の中に運動を取り入れ、文字通り骨太の生活を送りましょう。

2018年11月のコラムはこちらをクリックしてください

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