タチツボスミレ(立坪菫)(スミレ科スミレ属)
タチツボスミレ(立坪菫)(スミレ科スミレ属)
自生環境
山林、野原、道ばた など
原産地
日本在来
特徴
- 日本全国に分布して数も多いため、最も身近なスミレのひとつと言えます。林のふちや公園の木陰など、日当たりの悪い場所を好む傾向があります。株ごとにさまざまな個性が出やすい性質があり、多数の品種や変種が存在します。
- いわゆる「茎があるスミレ」です。冬の休眠期から春の開花初期には目立ちませんが、花後は茎が立ちあがり、草丈は30センチメートルほどになります。葉の根もとで、櫛の歯状に切れこんだ托葉がよく目立つのもタチツボスミレの特徴のひとつです。
- 薄紫色の目立つ花は4月から5月に咲きますが、その後も閉鎖花と呼ばれる目立たない花を咲かせ続けます。閉鎖花は蕾のような状態のまま開かず、中で自家受粉で完結してタネをつくる花です。秋から冬にかけて、陽だまりの暖かい場所では薄紫色の花が咲くこともあります。
ミドリタチツボスミレ
タチツボスミレの花色は薄紫色を基本としていますが、花色ちがいの品種もいろいろあります。緑がかった花を咲かせるものもあり、ミドリタチツボスミレと呼ばれています。ただミドリタチツボスミレは、株の個性ではなく、ファイトプラズマという微生物による「植物の感染症」と考えられています。植物がファイトプラズマに感染すると、花が葉のようになる「葉化」という症状があらわれます。
市内の分布状況
スミレ類の中では、もっとも普通に見られます。林内など、やや日当たりの悪い場所に多く生えます。
生育を脅かす要因
- 開発
- 荒廃
今のところは数も多く、身近な野の花のひとつと言えます。ただ、身近ゆえに人間活動の影響を受けやすく、またササ類や外来種の繁茂なども生育を脅かす原因となります。
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