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筋肉が少なくなると(市報のだ12月15日号掲載)

ページ番号 1021503 更新日  令和1年6月18日 印刷

柳田先生の顔写真
(監修:柳田信也先生)

東京理科大学の准教授、柳田信也先生にお聞きしました。

骨格筋とエネルギーの関係

イラストがあります
私たちの動作は筋肉の働きがあってこそ

自動車やバイクが走るためには、もちろんガソリンや軽油、電気などのエネルギーが必要です。物体が移動するためにエネルギーが必要であることは、物であっても生物であっても同様なことです。私たちの身体においては、筋肉が収縮することによって骨格が動かされることによって、さまざまな動作が行われています。
当たり前のことですが、我々が動くためには筋肉は欠かせません。筋肉には、手や足などを動かすための骨格筋、心臓を構成する心筋、内臓や血管などに存在する平滑筋の3種類があります。骨格筋と心筋は横紋(おうもん)を有するので、合わせて横紋筋とも呼ばれます。一方、骨格筋は自らの意思で収縮させることができるので随意筋、心筋と平滑筋は意識的に動かすことができないため不随意筋と呼ばれます。

 

私たちが歩いたり、走ったり、物を持ったりする動作は、骨格筋の働きによります。それでは、この骨格筋のエネルギーはなんだかご存知でしょうか?私たちの骨格筋は、アデノシン三リン酸(ATP)という筋内に存在する物質のみを直接的なエネルギーとして使用することができます。ATPは唯一無二の存在です。しかし、身体の中にあるATPは極めてわずかな量しかありません。身体の中からATPを無くさないようにするため、私たちの身体にはATPを作る工場があります。これをATPの再合成と呼びます。このATPの再合成の材料となるのが、食事から摂る炭水化物や脂肪、タンパク質などの栄養素です。特に、炭水化物(糖質)と脂肪(脂質)が、私たちが動くために必要な栄養素となります。骨格筋は糖質や脂質をエネルギーの基として利用し、ATPを作り、動くための力を発揮しています。たくさん運動をするアスリートがたくさんの食事を摂取しなければならないのはこのためです。イキイキとアクティブに動くためには、しっかりと食べなければなりません。
加齢に伴い、“動かない”と“食べない”という行為が相加相乗的に増加します。「あまり動かないから食べない」、「あまり食べないから動けない」。これは非常に悪循環です。近年になって増えているロコモティブシンドローム(運動器症候群)や耳にするようになって久しいメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、“動く”と“食べる”のバランスで予防・改善することができます。

加齢と筋力の低下

イラストがあります
加齢による筋肉の衰えは避けられません

動くために必要な筋肉ではありますが、加齢による衰えは(完全には)避けて通れません。我々の筋力は、30歳ぐらいをピークに減少し始め、加齢とともにその低下は激しくなります(図1)。図1をみると、背筋力も握力も顕著に低下することがわかります。
しかし、よく見ると、握力の方が背筋力よりも低下の割合が少ないこともわかります。背筋力は、大きな荷物を持ち上げや腰の曲げ伸ばしなどに必要となる力です。このようなダイナミックな動きは、加齢とともに行わなくなることが多いと考えられます。一方で、手で何かを操作したり、握ったりする動作は日常生活の中でよく行う動作です。つまり、あまり使わなくなる背筋力はより顕著に低下し、比較的よく使用している握力は低下しにくいという特徴がわかります。加齢に伴う筋力の低下は、生物である以上、防ぎきることは困難ですが、適度に使えばこの低下を抑制することができると考えられます。

グラフがあります
加齢に伴う背筋力と握力の変化
(日本人の体力標準値、東京都立大学体育学研究室)
背筋力・握力ともに30歳をピークに低下するが、その低下の割合は握力の方が少ない

実際に、部位別の筋量を調べた研究(谷本ら,2009年:日本老年医学会雑誌)では、上肢(腕や手)に比べ下肢(あし)では筋量の低下が著しいことが報告されています。高齢期には、歩行や階段昇降などの移動行動に関する筋力の低下が他の機能よりも顕著に低下することを勘案すると、やはり、日常動作と筋力や筋量は密接に関係していると考えられます。
体幹の筋量に関しては、減少が少ないように見えますが、このグラフは18歳から24歳の値を100%としたときの減少率を示したものです。体幹部の筋肉量は、18歳から24歳がピークではなく、45歳まで上昇をする傾向がみられ、その辺りの年齢がピークであることがわかります。体幹部の筋肉量が40代まで増加する理由は明確ではありませんが、体重の増加(主に脂肪)によって身体を支える力を大きくする必要があるためではないかという説があります。いずれにせよ、体幹部の筋肉量のピークである45歳を100%として作図すれば、体幹部の筋肉量も高齢期には顕著に減少します。また、65歳以降の低下率は、他の部位に比しても決して低い割合ではなく、むしろ急激な低下を示します。
高齢期には、特に下肢の太ももの前面の筋肉(膝伸展筋:膝を伸ばす筋肉)の筋肉量の低下が大きいようです。この筋群は、脚を前に出した時に身体を支える役割をしますので、この部分が衰えることで、歩行の困難さや転倒の増加の原因となっています。

グラフがあります
部位別の筋量の加齢変化
下肢の筋量が最も顕著に低下している
(日本人の筋肉量:谷本ら、日本老年医学会雑誌、2009年より作図)

我々の筋力は、筋横断面積と筋線維数で決定されます。筋横断面積とは、文字通り筋を輪切りにした際の面積を指します。プロレスラーのように力が強い人は、腕や脚の筋肉が太いことをイメージすればわかると思います。
一方で、筋線維数というのはあまり馴染みのない言葉かもしれません。実は筋肉は、ひとつの筋肉の中にたくさんの線維が集まってできています。スーパーでそうめんを買った時のことを思い出してみてください。袋をあけると何本もの麺が入っています。まさに、袋ごとのそうめんが筋肉ひとつで、そうめんの一束が筋線維であると言えます。筋線維数の違いというのは、袋の中に何束のそうめん入っているかということです。ひとつの筋肉の中に含まれている筋線維数は、個人差があります。もちろん多くの筋線維を持つ方が筋力を発揮するためには有利であるのは言うまでもありません。

イラストがあります
筋肉と筋線維の関係

高齢期には、筋横断面積、筋線維数ともに減少することがわかっています(Lexellら, Journal of Neurological science, 1988年)。つまり、筋線維一本一本が細くなるばかりでなく、消失していく筋線維も存在するということになります。この両方が原因となり、高齢期の筋力の低下が起こっていると考えられます。逆説的に言えば、見た目がしっかりとした筋肉を維持していれば、筋力も維持している可能性が高いと言えるでしょう。

グラフがあります
筋横断面積と筋線維数の加齢に伴う変化
筋横断面積も筋線維数も減少する(Lexellら、Journal of Neurological science,1988年より作図)

素早い動きの筋肉とゆっくりとした動きの筋肉

加齢に伴う筋力や筋量の変化は、筋内部にも特徴があります。
哺乳類の筋肉には、素早く強い力を発揮するための速筋と、ゆっくりと持続的な力を発揮する遅筋が混在しています。この速筋と遅筋の割合を筋線維組成と呼びます。筋線維組成は人によって異なります。
マラソン選手などの持久系の運動選手は遅筋の割合が多く、100m選手は速筋の割合が多いと言われており、自分が持久系なのか瞬発系なのかを決定する一つの要因となります。しかし、これは一部のトップアスリートの場合であり、多くの人は速筋と遅筋の割合は1:1であると言われています。実験的に、特殊な染料を用いて筋肉を染色すると、遅筋は赤く染まる一方で、速筋は白くなることから、それぞれ赤筋(遅筋)・白筋(速筋)とも呼ばれます。これには面白い現象があります。回遊魚であるマグロは大海原を泳ぎ続け、止まることが無いと言われています。一方で、海底に生息するヒラメは、泳ぎ続けることはなく、餌を捕る時や捕食されそうになった時に素早く動きます。マグロの刺身は赤身で、ヒラメは白身です。この偶然の一致は、赤い筋肉が持久力の筋肉、白い筋肉が瞬発力の筋肉と覚えるために有効な方法です。

説明写真があります
筋繊維組成の概念

それでは、高齢期には速筋と遅筋はそれぞれどのように変化するのでしょうか?
過去の研究によると、加齢に伴い顕著に減少するのは速筋であるということがわかっています(Lexellら, Journal of Neurological science, 1988年)。遅筋は速筋と比べると減少率は低くなります。つまり、高齢期になると筋内において、遅筋の割合が増えていくということになります。これは動作の観点から考えても納得できることが多いのではないでしょうか?歳を重ねると、素早い動きや瞬時に強い力を出すことが難しくなっていきます。一方で、ゆっくりとした動作を継続することはそれほど苦ではないのではないかと思います。高齢者が素早い動きが苦手なのは、筋肉の構造から考えれば致し方ないことなのかもしれません。また、速筋の減少は、巣払い動きを行う能力の低下につながり、そのことがつまずきや転倒の要因にもなります。

グラフがあります
遅筋と速筋の加齢に伴う筋量の変化
遅筋はあまり減少しないが、速筋が顕著に減少する(Lexellら、Journal of Neurological science,1988年より作図

筋力とトレーニング

生き物として、加齢は遺伝子に支配された回避不可能な現象です。加齢に伴う筋力や筋量の低下もある程度は致し方ありません。しかし、ただ指をくわえて待つしか無い訳でもありません。生物はさまざまな環境に適応することでその能力を高めることができる存在でもあります。特に人間はこの能力に長けています。筋力を鍛えることも同様であると考えられます。我々が自己の能力を向上することができる可能性をトレナビリティーと呼びます。トレーニングできる可能性です。実に興味深いことに、若者と高齢者において12週間の筋力トレーニングを行った結果、筋力の増加率はほとんど変わらなかったという研究結果があります。私たちは、いくつになっても自分を鍛えることができる、つまり高齢者にもトレナビリティーは充分に存在します。

また、さらに興味深いことに高齢者の筋力トレーニングによって、速筋が鍛えられることが明らかになっています。前述したとおり、衰えやすいといわれる速筋も充分に鍛えることができるのです。しかし、これも前述の通りですが、加齢に伴い相対的に素早い動きが苦手になるという事実もあります。充分なケアやサポートの得られる体制の下、筋力を維持増進するようなプログラムの充実が望まれます。

グラフがあります
高齢者と筋力トレーニング
筋力トレーニングと筋線維肥大率(Larssonら、American Journal of Physiology,1997年より作図)

グラフがあります
高齢者と筋力トレーニング
トレーニングによる遅筋と速筋の横断面積の変化(Romanら、Journal of Applied Physiology,1993年より作図)

近未来型の疾病“サルコペニア”

サルコペニアという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
サルコペニアとは、「加齢や疾患により筋肉量が減少することで、全身の筋力低下および身体機能の低下が起こること」を指します(長寿科学振興財団の定義)。

科学技術、医療技術の発展で、我々は“生きる”意味を熟慮しなければならない時代に生きています。
やはり、ただ生きながらえるのではなく、イキイキと活動的に生活したいものです。これまで述べてきたとおり、加齢は避けて通れません。しかし、老化はある程度までは防ぐことができます。市が進めるシルバーリハビリ体操などを有効に活用し、日常生活の中で筋肉を減らさないように工夫していきましょう。

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