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筋肉は年とともに委縮する(市報のだ4月15日・5月15日号掲載)

ページ番号 1022504 更新日  令和1年6月18日 印刷

柳田准教授の写真データ
(監修:柳田信也先生)

東京理科大学の准教授、柳田信也先生にお聞きしました。

 私たちの筋力は30歳ぐらいをピークに減少していくことや、持久的な力よりも瞬発的な力を発揮することが衰えやすいことは以前お伝えしました(2018年12月15日号参照)。また、このような筋力の衰えは日常的なトレーニングで防ぐことができることも説明したかと思います。今月は、筋力発揮の元となる筋肉自体が加齢によってどのような変化を起こすのかについてお話ししたいと思います。

加齢に伴う筋収縮力の低下

 皆さんご存知の通り、我々の筋肉は非常に細い線維が無数に集まって束になった状態で構成されています。その線維を筋線維と呼びます。筋線維の数が青年期にはおよそ60万本ありますが、80歳になると35万本ぐらいまで減少することも12月号でお示ししました。この筋線維の減少は、素早い動きを作り出す「速筋」に起こりやすく、ゆっくりとした動きに関係する「遅筋」では起こりにくいと言われています。前述したような瞬発的な動き(素早い動作)が年とともに苦手になるのは、この速筋線維の減少が関係しています。一方で、高齢者においても日常的なトレーニングをすることによって筋力の向上や筋肉量を増やすことができ、速筋線維を鍛えることもできることもわかっています。しかしながら、どれだけ鍛えても防ぎきれない加齢の影響が筋肉にはみられることがあります。特に、一本一本の筋線維の働きは非常に大きな加齢の影響を受けます。非常に精密なピンセットなどを使用して、筋肉から一本の筋線維を剥がして単一状態にした筋線維の引っ張る力(張力:筋線維の発揮する力の指標)を調べた実験結果によると、20代の青年と比べ70代の高齢者では、遅筋線維の張力が青年の60パーセント、速筋線維の張力は70パーセントぐらいまで低下していることがわかりました(Larssonら,1997)。筋線維一本の発揮できる力が若い時の3分の2程度になっているということです。さらに、驚くべきことに50年以上にわたって筋力トレーニングを継続している人と特別なトレーニングを行っていない人を比べた場合でも、この張力の低下は全く同じ程度であることがわかったのです(図1)。つまり、どれだけ一生懸命に筋力トレーニングをしても筋線維一本の発揮する力の低下は防ぐことができないと言えます。悲しいことですが、このような生物学的な加齢変化に抗うことは難しいものなのです。

図表1番のデータ
図1(筋線維の張力の比較)

生物学的な限界を超えるために

 12月号で述べた筋線維数の減少と上述した単一筋線維の張力の低下が、冒頭に述べたような30歳をピークにした筋力の低下の主な原因であると考えられます。30歳のときの筋力を100パーセントとすると80歳では約40パーセントになると言われており、年間で平均1.2パーセントの筋力低下が見込まれています。しかし、この筋力低下率はすべての人に共通に起こるかというとそうではありません。もちろんこのコラムを読んでくださっている皆様は充分にわかっておられると思いますが、高齢者でも筋力の高い人もいれば低い人もいます。先ほど述べたように生物学的な加齢変化には勝つことができないにもかかわらず、非常に強い力を発揮することができる人はいます。2017年に、米カリフォルニア州に住む84歳のジム・アーリントンさんは、「世界最高齢の男性ボディービルダー」としてギネス世界記録に認定され、その筋骨隆々とした身体がニュースとなりました。アーリントンさんの身体にももちろん加齢変化が起こっているはずです。それでも周りを魅了するような筋肉を維持しています。このことは、私たちが健康的に加齢変化を遂げていくための重要な要素を教えてくれています。
 確かに筋線維一本一本、筋細胞ひとつひとつの生物学的な加齢変化には逆らえません。しかし、私たちの筋力を決定する要因は、主に筋量にあるのです。ボディービルダーが見た目で筋肉ムキムキとわかる通り、高齢期における筋力は筋肉量に大きく依存します。筋肉が太くなる、つまり筋線維が太くなることは、青年と同様に高齢者においても起こります。鍛えることのできる可能性(トレナビリティ)は高齢者も青年も変わりません(Larssonら、American Journal of Physiology,1997年:12月号参照)。特に、ウェイトトレーニングなどの強い力を発揮する運動を若い時から行っていた人では筋肉量の低下が起こりにくいと言われています。まさに“継続は力なり”です。

図表2のデータ
図2(高齢者の筋力トレーニング効果)

注:平均68歳の高齢者に12週間の筋力トレーニングを行った結果、筋腹部(力コブの部分)が14パーセントも増加した

加齢とサルコペニア

 近年、加齢に伴う筋力や筋肉量の顕著な低下が起こることが問題となっています。この加齢やそれに伴う疾患による全身の筋肉量の減少を「サルコペニア」と呼びます。最近では、もう少し広い意味でサルコペニアを捉えるようになり、加齢による筋肉量の減少による筋力の低下、そしてそれに伴う身体活動量の低下を意味する言葉として使われるようにもなってきました。筋肉量の低下という意味でのサルコペニア(一次性・原発性)は加齢によるものですので、完全に避けて通ることはできません。問題となるのは、広い意味でのサルコペニアです。これは、身体活動の不足や病気、栄養不足などによって筋肉量や筋力が低下するもので、二次性サルコペニアと呼ばれます。このうち、重篤な疾患によって発症するものは回避することが難しいことが多くあります。例えば、骨折をしてしばらく寝たきりになってしまった高齢者が、骨折が治った後にサルコペニアになり、結果的に動くことが困難になり、身体機能が低下することによって転倒しやすくなり、またケガをする、というような負の連鎖が良くみられます。

図表3のデータ

 これと比較すると、身体活動の不足や栄養の不足は自分の意識で変えることができますし、若い時からの積み重ねによって予防することができるものです。防ぐことができる症状はできるだけ防いで、イキイキと健康寿命を延ばしたいものです。

食事と筋肉

 ご存知の方も多いでしょうが、私たちの筋肉は主にタンパク質で構成されています。食事によって摂取したアミノ酸やタンパク質を合成したり、分解したりすることで筋肉の量は変化しています。加齢とともにタンパク質を合成する機能が低下し、その結果、筋肉の量が減少しやすくなります。このことに拍車をかけているのが、実は食事に対する意識です。致し方ないことではありますが、加齢とともに摂食量は低下します。特に、身体活動量が低下しているという認識のある人であれば、なおさら食事には気を付けるかもしれません。また、身体を動かす機会が減るということは、消費するカロリーの減少にもつながりますので、エネルギーを摂取する必要性が下がります。このような状況の中で、高齢者でタンパク質摂取が不足している人が多くみられます。年を取ったから肉は控えよう、というような考えを持っている人も少なくないのではないでしょうか。健康増進のために、どれだけ効果的な運動を行っていたとしても、身体を作る栄養素が不足していては効果が薄れます。運動の効果を光り輝かせることができるのは、栄養に他なりません。日常生活の運動について考える際には、必ず栄養状態についても合わせて省みるようにしてみてください。おそらく、ご自身が思っているよりも多くの栄養素を身体は必要としているはずです。よく動き、よく食べることに優る筋肉や筋力増強方法はないかもしれません。

日常的な身体活動の重要性

 以前からこのコラムでも紹介してきましたが、若いときから運動を継続してきた人は筋肉量が減少しにくいことが明らかとなっています。また、「それはわかっているけど、若いときに何もしていなかったし、今からでは」と思われる方にも高齢者でも筋力トレーニングの効果はあるということも説明してきました。しかしながら、そうは言われてもなかなか運動をするのは気が重いという方が多くいるのも事実ではないでしょうか。
 最近の研究では、この「運動」というハードルを下げることに貢献する成果も多く報告されています。それは、スポーツや筋力トレーニングなどの「運動」でなくとも、階段を登ったり、バス停まで歩いたり、掃除や洗濯などの家事なども重要な「身体活動」であるという考え方です。特別な時間を作って、運動をするだけでなく、ちょっとした合間の時間や生活に必要な活動で身体を使った動作をすることにも充分に健康増進効果があるというものです。身体活動は「運動」プラス「生活活動」と定義されます。そして、非常に多くの研究によって、運動だけではなく、生活活動を含んだ身体活動も重要だということが証明されております。もちろんサルコペニアの予防にも運動のみならず、身体活動も重要です。趣味としての庭作業や犬の散歩、お孫さんとの遊びなどさまざまな活動によってサルコペニアを予防できるとなれば、少し気が楽になるのではないでしょうか。また、ひとりではなかなか気が進まないことでもお友達と一緒であればやる気にもつながるかもしれません。そして、そのことで新たなお友達が増えればなお良いことです。「運動をしよう」と強い決意が持てなくても、ちょっと気楽に身体を動かしてみましょう。そこから、身体を動かす楽しさや効果を実感して、運動にも興味が持てるようになるのではないでしょうか。

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